コロッケの作家性

 某日
 コロッケを明治座に見に行く。
 彼に初めて会ったのは30年前の「お笑いスター誕生」。
 彼の物まねの凄さは歌真似が相当のレベルに達しているにも関わらず、そこで止まっていないことだ。
 歌真似の凄い物まね芸人さんは、そこが終着点になってしまう傾向がある。
 これに三回くらいひねりを入れないといけない。だって、もう一度見ると客は飽きるからだ。
 これは鶴太郎さん、そして、コロッケに継承されている。
 コロッケは誰かに似ているということをさらに、「おもしろい」ということに比重を極端に移し替えたお笑い物まね芸人だ。
 物まねのネタに作家性をとても感じる。芸人と作家性を持ち合わせた男だ。
芸人性が全面に出て目立つので、そのことが意外と客は気づいてない。それだけ、芸人としての押し出しが強いからだ。でも、彼は内実、作家的芸人だと思う。
 また、ステージのトークが素晴らしかった。 お客は綾小路 きみまろさんの客層と年齢的に完全にかぶっていた。
かなりの高年齢層だ。満席。
 それをトークでガッツン、ガッツン、笑わす。
 終わったあとにコロッケに思わず「物まねしなくて、いいじゃん。トークだけ笑い取れるよ」と言ってしまった。それだけトークだけで笑わせられるのだ、コロッケってヤツ。
 そして、いつ会っても、爽やかな男だ。
 もし、今、お客の笑いの絶対量をある短い時間内に決める勝負をしたら、お笑いのビッグ3にもコロッケは勝つ可能性は充分あると思う。
 これはかねがね 思っていた。
 そして、コロッケって、本当にプロの芸人が見ても、笑わざるおえない芸人だ。