坂本龍一さんが『ラストエンペラー』(第31回)89年にグラミー賞の最優秀オリジナル映画音楽賞を受賞した時、ボクはLAにグラミー賞の仕事でいました。
受賞式の翌朝、坂本龍一さんにインタビューしました。
初対面でした。
前日、遅くまで起きていたのか?坂本さんはとても眠そうでした
しかし、インタビューの方は眠い目を擦りながら、しっかり答えてくださいました。
『ラストエンペラー』の音楽は坂本龍一 デイヴィッド・バーン 蘇聡の3人で作ったことになっていますが、アメリカの作曲のクレジットには何らかの事情でまるで、作曲にタッチしていない人も
クレジットされるケースがたくさんあります。
一番の理由は印税倹約の事情です。
エルヴィスプレスリーのレコードには結構、作曲家とプレスリーの名前が共同クレジットされていることが多いです。
『ラストエンペラー』のメロディラインはどう考えてみても坂本龍一メロディであり、アレンジも坂本さんがお一人でなさったのだと、思いました。
少なくともデイヴィッド・バーンはまったく関与していないと思いました。
そのことを坂本さんに確かめてみたのですが、坂本さんはあくまで3人でデーターを
やりとりして作ったとお答えになりました。
音楽業界の事情があるのでしょうが、潔い人だと思いました
ボクは今でも『ラストエンペラー』は坂本さん単独の作品だと思っています。
それから、ボクのとても親しい友人が坂本さんと密に仕事をしていて、ボクのラジオに坂本さんをゲストに
呼んでみたらと推してくれました。
ボクも坂本さんの音楽は人並み以上に聴いてきたファンですが、膨大な坂本さんのインタビューや書籍を読み、音源を聴けば聴くほど、自分の坂本さんへの理解の未熟さを感じ、学習時間が必要で、中に入ってくれた友人を10年以上も待たせることになってしまいました。
そして、坂本さんは逝ってしまいました。
確かに坂本さんをラジオ番組のゲストに呼んで根掘り葉掘り、インタビューしたかったのですが、後悔はしていません。
およそ生半可の知識と理解では坂本さんにインタビューできるわけがないと今でも思っています
坂本龍一 「sayonara」