師匠水谷龍二と小ケンカ

新宿 THEATER / TOPSにて、「悩み多き者よ」
【作】 水谷龍二
【演出】 田村孝裕(ONEOR8)
出演小倉久寛 山口良一 ラサール石井
を鑑賞した。作家の水谷さんは僕の師匠である。
日本テレビ「うわさのチャンネル」(水谷さんが台本を書いていた)の後番組「金曜娯楽館」で僕が前説のバイトをやっていた
時に声をかけられた。トリオで前説をやっていたのが、後のブラザーコーン、落語家の桂竹丸
三人でやっていた。台本は僕が書いてリーダーシップをとったが、コーンちゃんは遅刻魔だし(前説が前に来ないのだ(笑)、よく収録終わったあとに来ていた)、竹丸は練習嫌い。
みんな学生だった。
コーンと竹丸はタレント志向で僕はまったく芸能界ということは
考えていなくて、趣味でやっていた
落語評論家になろうなんていうのも選択肢のひとつに考えていた
(今考えると、いい加減でぞっとする)
それで研究だけは人一倍やっていた。
外国のお笑いの本から、古本街では日本のお笑いの古書を
読み漁ったりしていた。
自慢じゃないが、番組の本編より、客にはぼくら前説の方が受けていた(笑)
水谷さんには内緒だが(笑)

水谷さんの芝居ははタイトルがうまい。
 今回もフォークシンガー斉藤哲夫さんの歌「悩み多き者よ」をそのまんまタイトルにした。(本人が見に来た)
「なかよし」「星屑の町〜東京砂漠編〜」 「カラオケマン」などなど。
水谷さんは僕より二つしか年長でないが、昔から老けている。
この人、若いときから、演歌が好きだった。
趣味がオヤジくさい
水谷さんは中高年の悲哀を題材に書くと抜群である。
やっと、実年齢が水谷さんの書くものに追いついてきた。
今、日本で一番売れている劇作家である。
打ち上げで「植竹の洋楽には負けるが、俺の方が演歌は知っている」「いや、水谷さん、僕はここんところ、日本の演歌、歌謡曲研究やってますか、負けませんよ」「いやいや、オレの方が知っている」「いやいや、僕の方が」
と、くだらないケンカを水谷さんとしてしまった。
こういうくだらないケンカできる先輩がいることは幸せなことだ。

水谷さんがパンフレットに寄せた文はこうだ
公演概要「悩み多き50代」
 この座組も今回で3回目になる。役者も全員50歳を越えた。演出は前回から田村孝裕(30)が担当している。妙な組み合わせだが、そこが面白い。タイトルに使わせてもらった『悩み多き者よ』はフォークシンガーの斉藤哲夫が20歳の時に作った歌である。今聴いても含蓄がある。斉藤哲夫が若くして老成していたのか、こちらが成長していないのか、たぶん両方だろうが、体力だけは衰え、気持ちばかりが若いというのは如何なものか。体力の衰えと同時に、やはり老成したいが……できずにあがいている。この芝居はそんな男たちの話である。