正直な作家 渡辺淳一さん

直木賞選考委員を渡辺淳一さん退任したのは今年、1月。 
 シリーズ企画「大森望豊崎由美のラジカントロプス2.0(ラジオ日本)文学賞メッタ斬り」 進行 植竹公和
 
(写真は一月の文学賞メッタ斬り)
 次回は今年の芥川賞直木賞の季節七月(毎年1月と7月)を予定してますが、この企画は選考委員の方の選評を含めて材料に行う文学ショーであり、個性ある選考委員がお辞めになるのはつらかった。
 その淳一さんが亡くなられた。
 
 渡辺さんは僕の親類にあたる方で、何十年も前に披露宴でお会いしたことがあるが、身内の場では普段の作家オーラを隠しておられ、場をわきまえた品のある方だった。
 僕は淳一さんの随筆が好きで、「これだけ違う男と女 渡辺淳一と女たち 」などに代表される「男のいい分や本音」を今時、しっかり書いてくださる方で、テレビに出て来てお話しするお話が随筆と一寸違(たが)わないので正直な作家の方だと思っていた。お話も上手。あれだけ、男の本音を書いたり、言ったりして女性ファンが多かったのは淳一さんのお人柄の柔らかさであろう。
 淳一さんの小説のエピソードで、おかしかっったのが、「フランスの古いシャトウで、毎夜くりひろげられる美貌の妻の「調教」。そして、異国の男たちによって弄ばれる妻の裸身をのぞき見る夫の若い医師―。はたしてこの背徳の行為は二人の運命に何をもたらすのか?」という内容の「シャトウルージュ
という淳一さんの恋愛小説。
 その小説に登場する架空のお城を実存すると思い込み、物見高い中高年のおばさま達がフランスまでお城を探しに行った人たちがいたというエピソード。
 いずれにしろ、中高年にヒットする感覚に優れた作家さんであり、BSチャンネルとかのレギュラーで渡辺淳一さんありきの企画を生前、やりたかった。合掌