立川談志師匠〜山下達郎氏×服部克久氏

2013年11月6日12時45分より、春風亭小朝師匠、立川 左談次師匠、立川ぜん馬 師匠のラジカントロプス2.0(ラジオ日本)の立川談志師匠三回忌特番の二本録り(120分以上)の企画進行をした後、神奈川県民ホール山下達郎さんのコンサートに行く。
僕の達郎さんの初見は、ほぼ40年くらい前。
僕が子供の頃だった時(60年代)、40年間という時代感覚は戦争がいくつもくぐって生きている時代感覚だった。
この40年、戦争こそ、日本においては体験していないが、個々の日本人にとっては、身体的に、精神的に自分史において、いくつも内的戦争をくぐって来られた方も多いと思う
そんな時代を一番時代に流され易いポップサウンドというカテゴリーの中の音楽で生き抜いてきた山下達郎さんには敬服して止みません
いつも、思う事だが、ステージングを見て、この人の音楽的姿勢は「生真面目」であること。
無骨なまでに「生真面目」。
音楽に対して、ヤマっ気がなく、不器用なまでに音楽を裏切らない

ステージで達郎さんの真骨頂、ギターのリズムのカッティングの正確さ。
エモーショナルな歌声だが、腕より先はクール。
同じ体内でこの二律背反した感情をコントロール出来ているのは信じらない。
ステージの音楽の音に感動するにも増して、今回は特に、その生真面目さに時々、涙腺が緩んだ。

また、以前から、そのトークの巧さは定評があるが、ますます、その話芸は磨きをかけ、
まったく隙のない流れる言葉。無駄な言葉を削って削って芯だけが残った話芸
所々に笑いと辛口の主張が入る。
(想像だが、)絶対、話の稽古をしているはずだ。
その話芸のレベルが一流の噺家さんのレベルだからだ。どんな名人上手も練習していない人はいない。
本日の昼間の噺家さんたちの収録もそんな話をした
円生も立川談志古今亭志ん朝も稽古の鬼だった
ステージの音楽の譜面書きから、歌と楽器の稽古、トークの台本書き、しゃべりの稽古と、達郎さんのステージがどれだけ大変か察する

ところで、絶対、今回のパンフレットは買った方がいいです
達郎さんのストリングスアレンジをやっておられる服部克久さんと達郎さんの対談が読み応えがある。
 その中に「アレンジャーのラインだと、ああいう感じは出ない」と達郎さんが話していて、まったく同感。
服部さんは作曲家だから、歌にかぶるmelodyが別の歌を奏でているのだ こういうアレンジャーは希有だ

 いつも素晴らしいステージングだが、僕が見た中では最上の出来の日。
終わって、楽屋を尋ね、旧知のコーラスの国分友里恵ちゃん、佐々木久美さんや、僕の友達のテレビ制作会社社長と高校時代バンドを組んでいたギター佐橋さんや、ラジカントロプス2.0(ラジオ日本)でお世話になったベースの伊藤 広規さんにご挨拶。達郎さんの公式ライブ写真をずっと撮影しているカメラマンの菊地英二さんにもお会いできた。何十回も達郎さんのステージを目撃している菊地さんの第一声が「今日、最高でしたね!」と、こちらの心と激しく同期し、感動!やはり、今日のライブはいつの日にもまして、凄かったんだと、これで確信に変わった
 最後に僕と同じ道産子新鋭ドラマー小笠原拓海くんに「今日のどの曲が一番、ドラマーとして叩く難度が高かったの?」
「全部です」と小笠原拓海くん。
 本日の一寸の隙のないステージ(特に達郎さんは決めが多いことで有名)を見ていると、これは本音だと思った
 春風亭小朝師匠たちが語る立川談志師匠のトークの進行をして、脳内が高熱になった後、さらに達郎さんのステージで脳内温度は沸点を越えてしまった