おじさん不在のSF的現代ドラマ

日本のテレビドラマや映画を見ていると、気のせいかもしれないけど、高齢の俳優が排除、いや、削除されているような気がする。
 これだけの日本の高齢者社会なのに、映画やドラマの世界はおじさんやおじいさんがあまり登場しない。昭和30年代はクレイジーキャッツの「無責任男シリーズ」や森繁久彌さんの「駅前シリーズ」「社長シリーズ」で30代から50代の男性が主人公で映画がシリーズ化され、大ヒットしていた!
 子供から大人まで見に行っていた。
 当時、僕は小学生だったが、そんな大人達が主人公の映画を見て、大人の社会には接待とか、女性問題とかいろいろ大変なことがあるということを画面で学んだ。果たして、本当に理解していたかは別問題だが。ま、世のお父さん達は飲んで千鳥足で帰って来るが、結構、あれはあれで大変なんだと思った。娯楽映画に教育的効果があったわけだ。少し、子供がいい意味で、ませるのである。(確か、当時の小学生はお父さんが酔った真似とか、ギャグでやっていた。自分も(笑))
 今、この辺りの「お父さん大変情報」を子供たちは知らない。画面から削除されているからだ
 現代ドラマや映画から、おじさんなる人物たちが削除され、登場して来ない。
 これはむしろ、SFの世界だ。この世におじさんがまったくいなくなったらというIFの世界だ。このSF世界をなんの疑問もなく見ているわけだ。
 せいぜい、登場しても大抵、うるさい上司、セクハラ上司という悪役ばかりの負の要素の配役である。これは子供たちに偏った印象を植え付けられるに違いない。また、風景としてか、おじさんは登場しない。
 昔で言えば、有島一郎だったり、加藤大助だったり、山村聡だったり、小沢栄太郎だったり、加藤嘉だったり、佐分利信だったり、そんなようなおじさん俳優がもっともっと登場させて、生き生きとした役を演じさせて欲しい。