春風亭小朝さんと桂三枝さんの二人会

春風亭小朝さんと桂三枝さんの二人会を相模原グリーンホールに見に行ってきました。
大学時代の落語研究会の後輩が春風亭小朝さんのマネージメントを担当しているので、前から四番目ど真ん中のいい席を取っていただきました。
 春風亭小朝さんは昭和52年から55年の二つ目の時代から、注目し、追っかけています。
当時、本牧亭での春風亭小朝の独演会にショッチュウ、通っていました
 前座は林家こぶ平さん(現林家正蔵さん)。
 当時、まだ、林家こぶ平さんはまだ、まだまだでした
 人を見くびってはいけないものだです
 その後、現在、林家こぶ平さんは林家正蔵さんになりきっちり古典をやられます
 経験と名前の大きさがいかに人を育てるかです
 いわゆる、お笑い芸人の世界も一緒です
芸人としてはまだまだ経験不足で、看板番組をやらせられいるオリラジを見ていると、正直、同情しています。
本人たちは不安でいっぱいだと思います
しかし、チャンスを与えられた以上、仕方がありません
そのチャンスさえない芸人はたくさんいるからです
 一枚看板をテレビで張るには、最低でも7〜10年は下積みが必要です
 テレビという舞台を理解するまでそのくらいの経験が必要なのです
 苦労しながらも、オリラジが育っていくことを祈っております
 長い目で見てあげるしかないと思います

さて、昭和52年の頃、僕は当時は二つ目だった春風亭小朝のお母さんと長電話のお友達(こっちはそう思っている、一方的に)でした。
三日に一度は電話で交信していました
決まって長電話でした
気が合うというか、今だに、実際にはお会いしていないのですが、話が弾みました
天才芸人の産みの親。
 春風亭小朝さんの話のうまさはお母さんのDNAです。
 「息子さん、天下取りますよ」と確信を持ってお母さんに話していました
 昭和47年、デビュー直前の荒井呉服店の娘さんの荒井由美さんに同じことを電話で話したことがあります。
 素人の分際で、自分は一体、何様のつもりだったんでしょう?
 自分は嫌な素人だとつくづく思います
 本当に今考えると顔が赤くなります
 この昭和47年から53年にかけて、春風亭小朝さん、荒井由美さん、山下達郎さんという、本当にとんでもない才能たちが輩出しました
 芸事の才能ある人はある時代のあるエポックに一挙に噴出します
はっぴいえんど、ティンパンアレーを含め)
 不思議です。
古くは文学の世界では1953年の「第三の新人」と呼ばれる小島信夫安岡章太郎庄野潤三遠藤周作吉行淳之介
1980年の漫才ブームしかり。
才能はまとめて活火山のように噴出すのだと思います
 春風亭小朝さん、荒井由美さん、山下達郎さん、現在、全員、第一線。
いまだ、トップランナーであります。
みんな50才過ぎて、52才、54才、54才。
 この昭和50年から53年にリアルに彼らと出遭った、あの興奮は忘れません。
まだ、情報が少ない時代です
 だから、 自分が「第一発見者の喜び」を味わえたのです。
 
 4月28日相模大野グリーンホールでの今回の春風亭小朝さんのネタは二席。
スケジュールの都合で二席連続でやりました
 一席は新作、二席目は「片棒」という古典落語
「片棒」とは店を継ぐものを決めなければならない大旦那。三人の息子がいるが、誰を

後継者にするかを決めかねている。そこで大旦那は、ある命題を与えてどのように対応

するかを息子に答えさせて商売に対する姿勢を判断しようとする。

その命題とは、「自分の葬式をどのようにとりおこなうか。」である。
一番目の息子は「おとっつあんの棺桶をディズニーランドのイッツスモールワールドの水の上に乗っけて・・・・・」という春風亭小朝流のクスグリいっぱいの18番
  古今亭志ん朝さんの落語が歌を歌っていたように聞こえたが、春風亭小朝さんも歌であり、古今亭志ん朝さんの倍速の歌である。
 8秒に一回のくすぐりが入る。
桂三枝さんの新作
 お父さんがエロ小説を実は表紙だけ、司馬遼太郎さんの「竜馬がいく」に代えて読んで置いておいた本を、学校の朗読の時間に持っていてしまう息子の話。
 決して、下品な描写をせず、笑わせる桂三枝さんの作家力に唸りました。
 寸止めのうまさです
 桂三枝さんのパフォーマンスを見て、明石家さんまさんの芸風の原点は桂三枝さんの芸にあると類似点をあらためて確認しました

玄関で 桂三枝さんの初DVDが発売された。
今までなかったのが不思議である。
 春風亭小朝さんの音源、映像化もまだされていない。
(以前、カセットテープが何本かう売られたが、もう、それもない。)
「円生百席」のほか、古今亭志ん朝のCDのプロデューサー ソニー・ミュージック・プロデューサー京須 偕充さんのような人はいないのか?
古今亭志ん朝さんを長期戦で粘って口説いて録音させたように、春風亭小朝さんを
誰が口説くのだろうか?