広島原爆と「いとしのレイラ」とコルトレーン

『トム・ダウド/いとしのレイラをミックスした男』のDVDを遅ればせながら、見ました。昨年、単館上映で話題になった作品です。
 資料によると
ディジー・ガレスピーレイ・チャールズジョン・コルトレーンアレサ・フランクリンオールマン・ブラザーズ・バンドエリック・クラプトンロッド・スチュワートといった、時代時代の先端を担ったアーティストたちのレコーディングにサウンド・エンジニア、またプロデューサーとして関わり、数々の名曲を生み出してきた。若くして、アトランティック・レコードに入り、2002年にその生涯の幕をおろすまで、アトランティックと共に過ごしてきた彼の人生は、まさにアメリカのサウンド技術の歴史に反映されると言っても過言ではない。モノラル・トラックからステレオ、8トラック、そしてマルチトラック・レコーディングへと変遷をたどってきたアナログのレコーディング時代の常に先駆者だったのだ。
 何がすごいかというとジョン・コルトレーンのミキサーとエリック・クラプトンの「いとしのレイラ」のミキサーが同一人物であることです。
すばらしきなんでも屋さんなわけです

 ディアンオールマンとクランプトンを合わせ、あの「いとしのレイラ」の有名なリフが出来上がりますが、ディアンオールマンのボトルネックギターの音とクランプトンのリフをどうミックスしたかを再現してくれたりするシーンがあるのに興奮しました。
  彼はミキサーでありながら、譜面を読めて、ピアノも弾けたので、プロデューサーのようにミュージシャンにかかわっています。
 黒人ミュージシャンばかりを抱えるレコード会社スタックスに呼ばれ、黒人音楽が認知されることに大きくかかわった。これもひとつの自由民権運動なのかな?と思いました。
オーティスのバックバンドのブッカー・TとMg’Sが白人二人、黒人二人のグループだったことを映像であらためて確認しました。当時、こんな編成のグループは珍しかったと思います。スティーブ・クロッパー&ダック・ダンがとってもハンサムでこぎれいだったのが、驚きました。この映像を見るだけで音楽の世界だけは人種を乗り越えるのだなと思いました。
 トム・ダウドはまた、ミキサーをやりながら、コロンビア大学の学生で、知らぬ間に"Manhattan Project"(マンハッタン計画)の研究に関与させられていたというエピソードがまた、驚かされる。
広島原爆と「いとしのレイラ」とコルトレーンが結ばれている。
 ビートルズのプロデューサージョージマーティンが当時、トムに会いに行き、8トラックでレコーディングしていたのにびっくり。ビートルズはまだ、4トラックで録音していたから。これは音楽ファン必見である。