中田の仰向け

中田選手とレベルが違うので比較するのは
オコガマシイですが、昭和44年の中三の夏休みのよく晴れた午後の
ことを思い出しました。
その年の夏休みはアポロ計画のロケットが月面着陸のニュースで
大騒ぎでした。
僕らは高校受験のまっさなか。
それでも、学校に出てきて野球の練習に打ち込んでいました
月面着陸より、僕らにとっては野球の練習の方がはるかに大事でした
画家の安野光雅さんの随筆に息子さんが月面着陸の事件を
よそに、野球部の練習に行く光景を父の目線で綴っているのを
あとで発見したことがあります。
僕ら函館教育大学附属中学校野球部は函館市の千代台球場で
野球の名門五稜中学と決勝戦を戦っていました。
附属野球部始まって以来の決勝進出。
1V0でリードしている最終回、僕の頭上を
白球が超えていきました。
気づいたら、3対1でさよなら負けをしてしいました。
勝てたら、全道大会で札幌でした。
終わりました。
僕はベンチに戻ってきて、球場内の芝生に
仰向けになり、青空を見つめました。
ずっと、そうしていました。
誰か別の部員も同じ格好で仰向けに
なっていました。
草いきれの匂いがしていました。
本気で青春が終わったと思いました。
泣いていた部員もいました。
ホント、ユーミンの曲のタイトルではありませんが
「悲しいほどお天気」でした。
係員が来て、「起きなさい」と注意されました。
その言葉で現実に引き戻され、とても残酷に思えました。
次がないので、主将としてなんと部員に声をかけていいやら。
その後、学校に戻り、どこかの教室で反省会。
そこから見える外のお天気の様子と涼しかった
教室の空気を覚えています
自宅に帰り、昼間なのに布団に滑り込みました
まだ、茫然としていました。
体が疲れているのに眠れません
窓から見える光景はお天気模様でした。
それからの時間の記憶は途絶えています
この2、3年後、同じチームだった一年下の小川くんが
捕手として、高校進学後、見事、甲子園に出場しました