林家木久扇 二代林家木久蔵 付かず離れず親子会

生・古今亭志ん生は見た事がない。最終的にファンは古今亭志ん生がそこにすわっていれば、それで満足したという。立川談志師匠は晩年を待たずして、そうだった。それは芸人にとって理想形であり、夢である。妙な話なのだが、噺家であっても、声を発っしなくても、お客さまは満足なのだ。
  もちろん、林家木久扇師匠はバリバリの現役だが、今回、2013年7月21日13時半開演!円覚寺佛日庵での北鎌倉お坊さんアカデミー「林家木久扇 二代林家木久蔵 付かず離れず親子会」の林家木久扇師匠はその域に完全に達していた。 
  しかし、こんなことを書くと、林家木久扇師匠に叱られそうだ。この会の僕の司会のトークコーナーで近頃、お客さんも評論家みたいな人が多過ぎるし、「勉強会」と謳って演者も「精進します!」と、皆落語をまじめに突き詰め過ぎる、落語というのはもっとふわっとしたものと、師匠はおっしゃっていたからだ。「一億総山本益広状態ですね?」と僕が言った。なのに、僕が大師匠の舞台を見て、今、「その域に完全に達していた」などというのはおこがましい話だ。
 開演前から、来てくださったお客さんを自ら出迎え、ご自分のご本の販売の店頭にお立ちになり、サインする大サービス。こういう出し惜しみしない噺家の大師匠を初めて見た。
 噺は円覚寺に眠る師匠の師匠漫画家清水崑先生の御墓参りをして噺からのスロースタート、特にくすぐりも入れず、淡々と5分経過。漫画家修行時代、鞍馬天狗とかを描く時に一々、物真似をしながら描く様子を清水先生が目撃し、「きみはしゃべる仕事の方がいい。桂三木助さんに手紙を書くから、訪ねなさい」と言われ、素直過ぎる林家木久扇師匠は「はい」と二つ返事で訪ねて行ったという噺あたりから、右肩上がりの爆笑量がどんどん加算されていく。
  最後はまるで、師匠とお客様が第九を一緒に合唱したごとく、笑いの一体感を共有した。おそらく、「幸福(しあわせ)」という言葉が照れずに言える空間だった。
人は人を呼ぶ。本当にいいお客様が来てくださった。
  「木久蔵ラーメン利権はやはり息子さんに譲渡されるのですか?」という僕の質問に師匠は「実はわたしは、(師匠の描く)ラーメンてんぐのキャラクターたちをスターウォーズのような映画にするというのが夢なんです 」と御歳75歳林家木久扇師匠が少年のように夢を語った。
  初めて知ったのだが、ラーメンてんぐは鳴門巻きが手裏剣になっていて刺さっても痛くないというのだ。林家木久扇師匠はなんて優しいことを考える人なのかと、司会をしながら、涙ぐんで来た
高橋尚子さんも柔ちゃんも30代、国民への貢献度から言ったら、師匠にもそろそろ国民栄誉賞(僕はお世辞ではなく大マジ)を与えてもいいと思いますよ」と、僕が言うと。
 師匠は「国民栄養賞なら」と切り返した 
<写真解説>
 親子会ということで、二代林家木久蔵師匠、緊張したにも関わらず、林家木久蔵師匠が出演した北鎌倉お坊さんアカデミーで一番の出来!
 林家木久扇師匠の左で195センチの大男は林家木久蔵師匠の弟子で昭和の名大関清国の息子さんで元慶応ボーイ林家木りんくん!この秋、二つ目になれると喜んでいた
 林家木りんくん、この子、テレビ的にいいぞ!注目だ  
 林家木久扇師匠のご夫婦、ご住職高畠ご夫婦と林家木久蔵くんと僕で記念撮影