春である。
「桜」「さくら」「サクラ」というタイトルがついた歌がいろんなミュージシャンが歌う春の歌がリリースされている。なんか、「春の安売り」である。「春を売る」(笑)これはまずい。
季節ものの歌はおいしい。季節感に誘われて、なんとなく、流行してしまう。特に春は日本人が一番、心ときめく季節。そして、CDセールスの要の若者たちの旅立ちの季節であり、始まりの季節でもある。
それを考えて、あざとく、春に関連するwordのタイトルを安易に付けた曲が横溢する。
連綿と春の歌は昔からある。だからこそ、何か、一ひねりが欲しい。
それがミュージシャンとしての最低限の誇りだと思う。
なのに、ここ数年、耳に入って来る春の歌があまりにダイレクトのタイトルであり、歌詞なのだ。
松任谷由実さんの「卒業写真」。
これがまずは最近の流れの春シリーズの親と見ていいと思う。
春は松任谷由実さんの「卒業写真」が、冬は山下達郎さんの「クリスマスイヴ」が日本の国民歌謡である。本人のご意思とは関係なく。
「卒業写真」は1975年リリースのアルバム『COBALT HOUR』の収録曲である。さらに、1979 年のアルバム「olive」では「最後の春休み」という春シリーズ第二弾を。そして、三弾目は松任谷由実さんの「春よ来い」(NHKが1994年10月3日から1995年9月30日まで放送した連続テレビ小説で、原作者橋田壽賀子さんの自伝小説作品。)という、今までのユーミンメロディとは異質なメロディを提示した。まったく、それまでの松任谷由実さんの音階にはない、唱歌、童謡のようなメロディーで作った実験的曲である。こういう芸当ができてしまうから、松任谷由実さんは職人である。松任谷由実さんの奥底に沈殿していた日本的旋律が自然に 浮かび上がって来たのかもしれない。
何を言いたいかというと、松任谷由美さんの母屋を借りただけの小手先の
「春の歌」が蔓延して、巷で聞いていて恥ずかしくなるのである(笑)
松任谷由実さんの春の歌は横綱である。だから、それなりのぶつかり稽古に耐えうる歌が産まれて来て欲しいものだ。
さて、東の横綱松任谷由実さんの新譜「そしてもう一度夢を見るだろう」が4月8日にリリースされる。
このアルバムに「最後の春休み」の続編ともいえる「ハートの落書き」が入っています。
このアルバムでプロデューサー、アレンジャーの松任谷正隆さんがエレキギター、生ギター、マンドリンも弾いておられる。
キャラメルママ時代、マンドリンを弾いたのを見た記憶があるがお上手だった。そして、エレキギターの練習をしていらしたと風の噂で聞いていたが、このアルバムで披露していただけるとは。
先日、松任谷由実さんのマネージャーさんと打ち合わせしたのだが、今年はツアー60カ所以上なさるというのだ!60カ所って、凄い数である。
じっくり、横綱相撲を取っていただきたい。
※ちなみにアルバムのミキサーはアルシュミット、そして、ツアーの舞台美術はドームツアーでないにも関わらず、マークフィッシャーだ。これまた、聞き物、見物!