頭を下げるのも芸のうち

会社が法令遵守しなかった場合のため、あらかじめ、危機管理コンサルタント会社と契約し、謝罪会見のハウツーを学ぶことを義務づけている会社が多い。
 ここんところ、食品偽造問題や住宅問題で、会社側の人々が謝罪する「姿」を頻繁に目にする。
 しかし、「謝る姿」に芸がない。
 「形」が良くない。
 今回の役所の補助金プール問題の会見で、各県の役人が頭を下げるシーンが続いたが、
やはり、どの県の役人も「形」が悪い。
 一斉に数人で頭を下げる映像は、まるで、要領の悪い小学生のようだ。
萩本欽一さんだったら、絶対、突っ込んでいるはずだ。
 日本の儀礼の基本「頭を他人に下げる仕草」は一長一短ではできないことの証拠だと思う。
 歌舞伎役者の襲名披露、落語家の襲名披露を見ると、歴然である
 他人に頭を下げる修行を日頃から何毎回と繰り返しているのであるから、当然なのである。そして、相手に「お客様」という意識がきちんとあるからだ。
 それはデパートで買い物して立ち去る時に店員さんがお客が見えなくなるまで、深々と礼をしている姿も芸の同じなのだ。
 仮に、いくら、危機管理コンサルタント会社が役所を教育しても、「お客様」という意識と、長年、九九を覚えるような反復練習がなされていない限り、ニュース映像を見る限り、バレてしまうのである
 また、ある学者さんは「ちょうど、団塊の世代は上に反抗してばかりいて、それを見て、真似して育った団塊の世代のやや下の世代が、管理職になり、頭を下げる役回りをやらされて、人生において思いもよらなかったことで、あたふたしているのでは」と、面白い説を唱えていらした。
 とにかく、他人に素直に謝るのは、長い修行がいる行為なのだ。