スーパースターを語るべき人

1986年に僕はシュラインホール(ロスアンジェルス)で、マイルス・デイヴィス・グループの生演奏を目の前で見ました。
グラミー賞の仕事で僕はそこにいました。
そのメンバーの中に1989年から1991年までマイルス・デイヴィス・グループのメンバーとして活動した日本人のケイ赤城さん(キーボード奏者)がいらっしゃいました。マイルスと相当年齢差のあるケイ赤城さん。まったく、見をとりしないケイ赤城さんのプレイでした。
 最近オンエアされたETV「知るを楽しむ」という教育番組で「マイルス・デイヴィス」が特集されました。
しかし、番組の語り部ジャズミュージシャンの菊地成孔さんのマイルス論が、60年代のジャズ評論家の典型であった「マイルスを妙に神格化」する手垢のついたジャズ論であり、何より、そのマイルス論に目新しい情報がほとんどなかったことがオヨヨでありました(笑)熱心なマイルスファンでなくても、番組で話された内容は誰でも知っているようなマイルスについての話でありました。まるで辻仁成氏がロック論を語っているかのような(笑)
マイルスを語るにはマイルスに関する相当の知識、またはとんでもない眠っていた情報の公開、ないしは、まったく視点の違う切り口が必要とされます。それはビートルズ論、ブライアンウイルス論と同じように、膨大なファンの監視(笑)と、何度も何度も評論され続けられているミュージシャンであるからです。
たとえば、前衛音楽家武満徹さんが「ビートルズを多くの評論家が語ったが、たった一曲のビートルズの曲を超えるものではなかった」と書いております。いかにビートルズの曲が素晴らしいか、彼らの音楽を語ることが、それほどの覚悟がいることであるという意味にも捉えられます。
番組の中で、唯一、感心したのは、マイルス・デイヴィス・グループにいたケイ赤城さんのの気負いのないマイルスを語る姿が、なんとも好感が持てました。本当に実力のあるミュージシャンは四の五の語らないということであり、「音楽はただの音楽」なのだろうと思います。ケイ赤城さんにインタビューしている一マイルスファンの菊地成孔さんの素直に顔がほころんだ表情はとても良かったのに。
知るを楽しむ」はよく見ている番組で好きな番組なのでありますが、今回のマイルス特集、そして、オードリーヘップバー特集を語った神田 紅さん、森 英恵さん、斉藤 由貴さん、黛 まどかさんのラインナップで、僕が納得したキャスティング森 英恵さんのみでありました。
全てのファンを納得させるというのは不可能なことで、何を言っても、熱狂的はファンは納得しないものですが、スーパースターを語るときは神経質なくらいの慎重さが必要であると思います
もちろん、知識の量だけで評価するのはナンセンスです
  「納得感」なのです
   専門家が該当者がいない場合は「そう来るか!」という棒高跳びのバーを超えて、客席まで飛んでしまうくらいの大どんでん返しだと思います
  マイルスは松田優作さんをリリーフランキーさんがこの番組で語ったように(くりーむしちゅー上田くんもありだった)、ドラマーの村上"ポンタ"秀一さん!この方のマイルス論、マイルス私的交遊録は素晴らしい。兄貴分の村上"ポンタ"秀一さんにお会いするたびに個人的に何度も「マイルス愛」を語ってもらったことか?しかも、同じ話だが、アキナイ!
もしくはタモリさんにもう一度、照れないで、きちんと(笑)語ってもらいたかったなあ。