「別冊 太陽 名女優」 早田雄二

現在、女優といわれている人の一体、何人が女優というのに値するか?
スクリーンというものが、幅をきかせていた時代に育った僕個人としては、甚だ疑問なのです。
 この世の女性を演じているにもかかわらず、女優さんはこの世のものではない。それが女優の僕の概念なのです。単なる「いつもの小道」で会う、憧れの人ではないのです。いつもの小道では絶対に会えない、スクリーンでしか、会えない存在なのです

 ですから、好感度調査に上位ランキングすることは、その意味でまったく意味がない。別に付き合ってほしいとかも思わない。スクリーンの布に描かれる動く絵画なのです
「別冊 太陽 名女優」を読みました・
早田雄二さんという「映画の友」「映画ファン」の専属カメラマンが撮影した俳優の写真集です。
早田雄二さんは創立大正11年の「映画世界社」の社長さん橘弘一郎の弟本名橘雄二
「映画世界社」は映画雑誌「蒲田」、松竹が大船に移り、「オール松竹」、「映画世界」も発行。
昭和27年に 秦明小学校の前になんと三階建ての自社ビルを建設。その名も巴里ビル。一階が喫茶店、二階が編集、三階が早田フォトスタジオ。
 早田雄二さんの写真を見ると、これぞ、僕の思っている女優像がそこにあります。
そして、この御仁、女優さんもすべて、自分の彼女のごとく(あくまで、ごとく)お友達になり、写真を撮っていくわけです。
 その表情のひとつひとつが、まるで、心を許した彼氏に撮られて写真のようなのです。
写真には女優さんとのちょっとしたエピソードが書かれています。それは、今まで、その女優の聴いたこともない数珠だまのエピソードばかり。
早田雄二さんは原節子さんはお酒が好きなことをしっていて、撮影のとき、「細雪」のロケの休日、ビールを半ダースを二人でのみきります。原節子さんが、のん兵衛だったなんて!
中国に復員したときに、プレゼントされた高峰秀子のサイン入りの写真を、砂糖やパンツに代えて、助かったそうで、その写真をスペードのエースみたいだったと例えたりします。虎ノ門の文部省横に車を止めて、カーラジオでダンスを草笛光子さんと踊った話とか。 
水戸光子、轟由紀子 桂木洋子 失踪 島崎雪子 青山京子 筑波久子 団 礼子(ミス着物)白木万理、叶順子 桑野みゆき、海外の大物はジョーンコリンズ、ソフィアローレン、ジェラールフィリップ、シャーリーマックレーン、アステア モンロー ジョーディマジオ マイルス、さらにマルチーヌ・キャロルの半ヌードまで撮ってしまいます。
 二枚目ではないが、色気がある写真家。写真を撮ること、撮られることは擬似恋愛なのか。立木義浩さん、大竹省二さんにしろ、男性写真家は色気がないと、女優の色気のある写真が撮れないのでしょう。※1966年から、週刊プレイボーイの創刊の表紙の写真も 早田さん