プロ大橋純子&ポップ青年佐藤健のアルバム

7月28日中学の同級生と大橋純子さんのライブを六本木の「スイートバジル」で見てまいりました。
先日、テレビ朝日「昭和の名曲」に「たそがれマイラブ」にご出演していただいたばかりの大橋さん。
大橋さんには僕が台本を書いていたフジテレビ「ミュージックフェア」、日本テレビの「ザ・トップテン」、
テレビ東京上岡龍太郎のライバルベスト10」でご出演して以来。
「たそがれマイラブ」は筒美恭平さん作曲、作詞阿玖悠さんの楽曲。
この歌をいわゆる「大人の鑑賞にたえる歌」として歌唱しているのが、大橋純子さん。
「大人の鑑賞にたえる歌」は今は悲しいかな、新人歌手では演歌の歌い手だけが主に担っている気がいたします。
演歌の新人は氷川きよしくんのように演歌の歌唱力を先輩から受け継いでいます。
ポップチャートの新人歌手は先輩からの歌唱の継承がないままで、歌唱力としては目に余る人が多いのです。
ポップス系のシンガーは一部を除いてはほぼ「カラオケ歌唱法のプロもどきの歌手」が多数を占めている現状です。
カラオケという媒体はとても素晴らしい箱であることは僕も認めます。
しかし、一億総勘違い歌手を製造してしまったことは事実です。
基本的にはプロのミュージシャンは素人にできないくらい歌や演奏がうまかたっり、
とても素人に書けないすごい楽曲を作る能力がある人のことをいうのだと思います。
演歌の世界はブルースと同様、ほぼ定番のコード進行で
行くので、メロディが平板になるだけ、シンガーの力量が問われます。
メロディが比較的自由なポップスはそのメロの仕掛けによって、
歌の過不足をボンドのように埋めてくれます。
今は日本のヒットソングの世界は素人の時代です
異形な音楽の時代だと思います。
その中で、プロといえる人の一人が大橋純子さんだと思います
「たそがれマイラブ」、「シルエットロマンス」はもちろん、素晴らしい曲です
しかし、これは大橋さんのLPでいうとA面の部分。
大橋さんの音楽半生の前期のB面の部分は歌謡曲とは一線を画す
ポップシンガーの大橋純子& 美乃家セントラル・ステイション時代の時代です
「シンプル・ラブ」というヒットソングが有名で美乃家セントラル・ステイションのキーボード
佐藤健さんが作曲(作詞は松本隆さん)しています
この方は現在、大橋さんのパートナーであり、数々のヒット曲の作曲家兼アレンジャー兼プロデューサーであります
さて、この佐藤健さんのアルバムは僕が上京し、日本人のアルバムで一番初めに買ったアルバム「僕は今ひとり」。
3畳一間暮らしの貧乏生活でプレーヤーがないにもかかわらず、ラジオで聞き、即座に買いました。 エアーギターならぬ、LPを眺めて聞いている気分になる「エアー視聴」(笑)
このアルバムを友人の中島の下宿に持って行き、何度となく聞いたものです。
中島も即、購入。これでハモるパートを覚え、互いにハモれるようになりました。
この佐藤健さんのアルバムはポップス史的には非常に大きな意味を持つアルバムであります
なんと今回、大橋さんの楽屋で初対面の佐藤健さんにこのアルバムを見せたところ、ご自身も もはや
持っていないという貴重なアルバム。
1972年。ユーミンのアルバムが出る前年のリリースだと記憶しています
村井邦彦さんの赤い鳥から、はっぴいえんど、その間にポップなアルバムのリリースの
空白の時代に咲いた花がこの佐藤健さんのデビューアルバム。
ギルバートオサリバンのような孤独感、それでいて、ジムウエッブのような
スケール感を持ち、しかしながら、独自のメロがあくまて存在する涙ものの
ポップスアルバムです。捨て曲が一曲もないアルバムというのも僕の印象でした
大抵、いくらいいアルバムでも捨て曲が1、2曲あるもの。
これがまったくない完璧なポップスの数珠球。
このアルバムが日本ポップス史において、ほとんどの音楽評論家が見逃しています
はっぴいえんど関連の人脈だけがポップスを生産してきたわけではないのです
ポップスの閨閥はもっと多岐に渡っていることを音楽評論家は見逃しています
おそらく、すでに若い音楽評論家はリアルタイムで経験していないので
歴史を紐解くとき、つい多く出版されているはっぴいえんど関連資料だけを
頼りにしてしまうわけです。
実は佐藤健さんのアルバムが出る直前、僕が最近、お付き合いさせていただいいる
作曲家林哲司さん(この方については後日書きます)は実は佐藤健さんとグループを組んでいたという話を聞いたことがあります
その話を聞いて、このグループは解散したのは当然だと思いました。
そこにポールとジョンが同居していたようなものだから。
どっちがポールかジョンか、わかりませんが?(笑)
偉大なる作曲家が同じグループに二人住まいはきついはずです。
しかしながら、佐藤健さんのデビューアルバムでは林哲司さんもプレイしています
はっぴいえんど大滝詠一さんにお聞きしたことがあるのですが、ハッピーエンドでさえ、3000枚しか 当時、全国で売れなかったそうです。そのうちの一枚を持っている僕は珍しいと。
佐藤健さんのデビューアルバムを再リリースすることが
日本の大事なポップス史検証の意味合いはさておいて、これは
スタンダードの名盤の復刻として、もっと多くの人の耳に届けたいと思っております
是非、CD化をお願いしたいものです
そして、再現ライブを是非、佐藤健さんにやっていただきたい。
佐藤さん、実は歌もうまいです。

この方が僕と同じ道産子だとは思えません
北海道出身者でこれだけポップな曲を書くセンスの人は
珍しいです。北海道佐藤さんは赤平市、大橋さんは夕張市のご出身。
東京とは異にして、本当は北海道の風土ほど、ポップな曲が生まれてくる環境はないと僕は思っています