ハリウッドと日本映画の架け橋 BABYPOPスター☆町山智浩さん

七月13日新宿ロフトプラスワンで行われた「ファビュラス・バーカー・ボーイズ夏合宿! 」
ゴジラドクターペッパーを飲み、黒人がKKKになり、レスリー・ニールセンが空手をふるい、レスリー・ニールセンがレイプし、レスリー・ニールセンが熊と闘う!
出演ファビュラス・バーカー・ボーイズ(町山智浩柳下毅一郎
ゲスト:中野貴雄(映画監督)、高橋ヨシキ(デザイナー)に行ってきました。
 実に蒸し暑い日であったが、何をおいても
、映画評論家の町山智浩さんにお会いしたくて、はせ参じた。
 何度か町山さんとはメールのやりとりをさせていただいたが、これからの時代の映画評論はこの方の肩が全面的に背負って立つであろうと、思い込んでる僕は疾走して、何度行ってもなじめない新宿の街に向かったのだ。
 淀川長治さん、おすぎとピーコさんは僕の
大好きな映画評論家である。この三方は映画評論家というより、僕はむしろ、「映画紹介家」としての側面が強かったと思っている。
それはやはり、この三人の語り口調が芸として浮き上がってきたことが大きいと思う。弁士にも共通点があるのかもしれない。この三人があの語りで愛情たっぷりに話してくれると「なんか見てみようかな」と心が揺り動かされてしまう。それはとっても大切なことだと思う。
 さて、町山さんはもちろん、この語り部としての伝統芸を継承しているのも事実である
。町山さんのSWEETなBABYぼっちゃんボイスは特に女子のハートを動かす芸を持っている。
 しかし、淀川長治さん、おすぎとピーコさんと決定的に違うのはその批評・評論性である。特にハリウッド在住であるがゆえに、その地の理も生かし、ハリウッド映画に対する
見方が現存するいかなる映画評論家とは異にする。ハリウッド映画が製作された背景を事細かな学習と、映画を見るアメリカ国民、アメリカの政治などを社会学的に分析し、加味して、評価していることである。
春のキャンプ地の「現場」に行かない野球評論家がトンチンカンなことを言う。現場アメリカに居を持っている町山さんの視点はリアルである。
 さらに、町山さんはいわゆる日本のオタク文化別冊宝島の編集にもたずさわっていたご経験も大である。
ハリウッド映画の現在の旗手達がマトリックスの監督らに代表されるように、日本のオタク文化の洗礼世代が多産されている。この辺のことも含めて、映画評論できる人って
そうはいないのではないか。
 また、映画ばかりか、町山さんは内田樹さん、平川克美さん, 小田嶋隆さんと一緒に書かれた憲法9条について書かれた『9条どうでしょう』で、目からウロコの論客ぶりを見せている。
 そう、町山さんは正確には「映画論客家
というのがふさわしいかもしれない。
 それが決して偉そうではなく、あのベビーボイスで軽くしゃべるからいいのだ。
 実際、ロフトでの本番前にお会いしたら、ヘアースタイルが天然パーマがかかっていて、マルクス兄弟のハーポやアメリカの60年代のテレビ「三バカ大将」(失礼)のカーリーや、子供向けのアメリカンコミックに出てくるイタズラ小僧チャーリー(勝手な僕のイメージ)みたいなポップなイメージ。本当にポップコーンをほおばって映画を見てる少年のようなのだ。
 本番前に御出演の中野貴雄さん、尾崎一男さんを紹介していただき、町山さん、「今日はメガネ人口多いね、この楽屋」と僕を含め、全部、メガネっ子であることに気づく。お茶などを御馳走になり、サービス精神よろしく
、楽屋でも立川談志さんや明石家さんまさん
ばりにしゃべりまくる町山さん。いくら話しても消耗しない、話すネタが枯渇しない。楽屋でこれだけ話すと、本番になるとダレるもの。そのために温存し、まったく楽屋で沈黙か、静かにしているタイプの芸人がいる、例えば、たけしさん、太田光タイプ。町山さんは回遊魚型、話すのを止めるとマグロのように死ぬかも(笑)ま、一流のサービス精神から来るものが大きいと思うのだが。
 この人は映画界のPOPスターにきっとなる!そして、日本映画とアメリカ映画の橋渡しになる人だと、その楽屋エンターテイメントぶりに確信。