(千葉俊二編)が雷に当たったように素晴らしい作品群。
刺青、少年はすでに青春時代に読んで、感銘を受けていたが、飄風、秘密を読みつつ
背中がぞくぞくした。
「飄風」は絵描きの美青年が吉原で初めて女を抱き、その
女の幻影を忘れられず、東北旅行に行く。
幾多の東北の女に出会おうと、吉原の女のことが忘れられず
見向きもしない
そして、ついに吉原に戻り、かの女と再会するも・・・
「秘密」は最初から異常である。主人公の男は化粧をし、
女物の着物を着て町を徘徊する。男は女装が快感なのだ。
ある日、映画館で男女二人。
女は見覚えがある。
二年前に上海旅行の船旅で関係を持った女。
互いに氏名を名乗らなかった。
女に再び会うための手紙を密かに袂に入れる。
雷門での待ち合わせを女は要求。
男は人力車に乗って女は現れ、男に目隠しを強要。
どこを走っているかわからない間に女の家にいたる。
そして帰り、人力車で目隠しをされ男は雷門で
降ろされる。
これがなんども繰り返されていく・・・
谷崎の地の文が長々と続くが、まったく飽きない。
ありがたく噛みしめるように文章を楽しんで購読。
与えたのは間違いない。
乱歩には文体だけでなく、あの奇怪な世界は谷崎譲り。
海外には類を見ない大谷崎の文学。