潤一郎ラビリンス 1 初期短編集

f:id:sugarbabe49:20190912222952j:plain


千葉俊二編)が雷に当たったように素晴らしい作品群。

刺青、少年はすでに青春時代に読んで、感銘を受けていたが、飄風、秘密を読みつつ

背中がぞくぞくした。

「飄風」は絵描きの美青年が吉原で初めて女を抱き、その

女の幻影を忘れられず、東北旅行に行く。

幾多の東北の女に出会おうと、吉原の女のことが忘れられず

見向きもしない

そして、ついに吉原に戻り、かの女と再会するも・・・

 

「秘密」は最初から異常である。主人公の男は化粧をし、

女物の着物を着て町を徘徊する。男は女装が快感なのだ。

ある日、映画館で男女二人。

女は見覚えがある。

二年前に上海旅行の船旅で関係を持った女。

互いに氏名を名乗らなかった。

女に再び会うための手紙を密かに袂に入れる。

雷門での待ち合わせを女は要求。

男は人力車に乗って女は現れ、男に目隠しを強要。

どこを走っているかわからない間に女の家にいたる。

そして帰り、人力車で目隠しをされ男は雷門で

降ろされる。

これがなんども繰り返されていく・・・

 

谷崎の地の文が長々と続くが、まったく飽きない。

ありがたく噛みしめるように文章を楽しんで購読。

江戸川乱歩三島由紀夫に多大な文体の影響を

与えたのは間違いない。

乱歩には文体だけでなく、あの奇怪な世界は谷崎譲り。

海外には類を見ない大谷崎の文学。