サラリーマンの一生 城山三郎 伊藤肇

サラリーマンの一生 角川文庫 城山三郎 伊藤肇 薄い文庫だが4年もかかって読み終える。
その原因は対談相手の伊藤肇氏が一人で御託を並べているのが頁が進まない原因。やたら中国の格言を自慢げに出すのがよろしくない。
1986年の出版だが、二人が日本人ほど活字が好きな国民はいないと対談している。スポーツニュースを前日見た中高年が結果をしっているのに翌日もスポーツ新聞で読み直すなど。とにかく、日本人の活字中毒ぶりを半分揶揄し、半分誇らしげに話している。
それから、30年経った今はどうだろう?
車内で新聞を広げている人は皆無。
満員電車で中年男がスポーツ新聞を読んでいて、その裏側の頁が風俗記事で女性たちから、顰蹙を買う光景もなくなった。
日経新聞渡辺淳一さんの「失楽園」「愛の流刑地」が連載されいたのが10年くらい前だから、極論だが、それから中年男もあれだけ小説を夢中になって読むこともなくなったかもしれない。
電車の中は今やiphoneが取って代わった。
しかし、どれだけの人が活字を読んでいるのだろう?
「メールも活字じゃん」そう、確かにそうだ。
メールって、「交換日記」か。
活字中毒とは本来は<読む>中毒だが、メールは<書く>中毒と<読む>中毒が合体した活字中毒だ。
こんな世の中になるなんて、城山三郎は想像しただろうか?
※ちなみに企業小説をあまた書いている城山三郎さんは学校の先生の経験はあるが、いわゆるサラリーマン生活を一度もしたことがないことを改めて知る 城山さんってすごいや!